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「あぁ・・・、その事か。 お前の言う通りだよ。」 俊哉は顔色ひとつ変えず、自分が婿入りした経緯を話してくれた。 「カミさんの所は女だけの3姉妹なんだ。 うちのカミさんが長女で、妹たちは婿を取れるような環境じゃなくてさ。」 「・・・それって、どういう事?」 「真ん中の妹はオーストラリアに留学してて、5年前にそのまま現地で結婚したんだ。 下の妹は宝塚歌劇団の研修生。 こんな環境じゃ、他の2人が婿を取るのは難しいだろ? だから俺が、ほぼ強制的に婿入りする形になったんだよ。」 俊哉はタバコに火を点け、ゆっくりとその煙を吐き出した。 いつもと変わらない彼の行動。 辛いはずの話題を淡々と話す俊哉の様子に、私は少しだけ違和感を覚えていた。
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