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「・・・なぁ、都那? お前、俺の旧姓を覚えてるか?」 唐突にそう聞かれ、私は昼間見た表札の文字を思い浮かべた。 「うん。“純名”でしょ?」 「そう・・・。 この苗字、今日俺の家に来る前は覚えていてくれたのかな?」 「ううん・・・。 職場で再会した時は“西村”さんだったし、今日家に行って表札を見るまでは正直すっかり忘れてたよ。」 私は今日まで俊哉の旧姓を忘れていたのだ。 彼と仲良く遊ぶようになってからは下の名前を呼び捨てしていた。 そのせいで、私はいつの間にか俊哉の苗字を忘れてしまったのかもしれない。 それに親しくなるまでは彼は沢山いる男の子のうちの1人でしかなくて、“俊哉”というこの名前も・・・。
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