第1話

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思い出せ!思い出せ! 最後にスマホ使ったのいつだっけ? どこで使って、どこに置いたっけ? 必死にスマホの行方を思い出そうと頭を抱えても全く思い出せなくて、哀れな仔羊は途方にくれる。 ちょっとだれかスマホ鳴らして! と叫んだところで私以外に誰もいるはずがない。 必死に探し物をしたおかげで、まるで泥棒でも入ったみたいに荒れ果てた自分の部屋を見て、絶望でぐらりと視界が歪む。 ただでさえ風邪で弱ってるのに、スマホの捜索に全体力を使い果たして、私はもう瀕死寸前だ。 ……ああ、もうだめだ。 パトラッシュ、僕はもう疲れたよ。 私は力なく、布団の上に倒れ込んだ。 フランダースの犬なら、今まさに空から天使が舞い降りてくるところだ。 あー、どうせならあんな下半身丸出しの子供の天使じゃなくて、イケメンが迎えに来てくれたらいいのに。 布団の上で丸くなって、そんな事を思う。 半裸のイケメン天使がわっさわっさと迎えにきてくれるなら、このまま天国へ行くのも悪くない。(できればイケメンの局部は隠して欲しいけど)
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