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複雑な表情のまま問いかける私に、長瀬はまた溜息を吐く。
「とにかく」
そう言った長瀬は、私の頭に手を乗せて、ゆらゆらと揺らした。
その衝撃に、つい、掴んでいた服の裾を離してしまう。
揺れが収まって、視線を上げた先。
長瀬の表情は、柔らかかった。
「俺が買ってやるっつってんだから、有り難く受け取れ」
言葉自体は、オレサマ感たっぷりだったけど。
意地悪な笑顔が何だか、少しだけ柔らく感じた。
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