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「……は、い」
「よし。そこで待ってろ」
頷いた私にそう言って、改めてレジへと向かう長瀬。
私は弾かれた額より、揺らされた頭より……胸の奥の方が痛むことに気がついて、ぎゅっと手を握りしめた。
「……ありがとう、長瀬」
「どーいたしまして」
長瀬から手渡された紙袋。
小さなそれを、きゅっと握る。
男の人にピアスを贈られるのは、初めてだった。
そもそもアクセサリーを贈られたこと自体が初めてだ。
一般的な基準からは外れているらしい私の好み通りのものをもらえる確率なんて、低すぎて話にならない気がした。
何だか少し感慨深くて、ぼうっとその贈り物を見ていた、ら。
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