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「う~ん、厄介なのを引いたぞ・・・。」
斗真がコツコツと額を指で弾く。
「俺、この辺の地域にはあまり馴染がないんだよ。
だから、近くにある“あ”行の地名が思い付かないんだ。」
私も“あ”行の付く地名を考えていたが、ぱっと思いつくのは長万部、厚岸、旭川あたりで、これらはどれもここから遠い場所だった。
道内の地理に詳しいアヤも、少し悩んでいるようだ。
「この辺にも“あ”行の付く町はいくつかあるけど、これから行ったってもう観光できる場所がないからなぁ・・・。」
そう呟き、彼は私たちにこう同意を求めてきた。
「せっかくなら、観光したいだろ?
今日はそんなに動いてないし。」
「まあ、そうだけど・・・。
とりあえずは近けりゃどこでもいいよ。
ここまで来たなら、滝川でジンギスカン食べたいし。」
さっき話題に上がった滝川のジンギスカン。
その話題に一番喰い付いていたのは豊だった。
「じゃあ・・・、あれでいいか?」
豊の意見を聞き、斗真は国道の少し離れた所に立てられた青看板を指差した。
「歌志内か。砂川の隣町だな。
思い付かなかったよ。
たしか、道の駅に温泉があったはずだ。
今日はそこで風呂に入ろう。」
そう言ってアヤは、斗真に歌志内市街に向かうよう指示し、次の目的地を決定させた。
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