第二章

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目の前に散らばる貝殻。 中に絵が描かれていて、ぴったり合うものには同じ絵が描かれている。 まあ、神経衰弱のようなものだ。 こっちに来てからすることがない。 読書しようと本を借りても独特な文体すぎて読めないし、和歌も作れない。 すごろくは一人じゃできないし……この貝合わせばかりをやっているか、絵巻物を眺めるか。 それももう、飽きてしまった。 かぐや姫って、こんなに退屈なものだったんだ。 ごろりと横になる。 あの後何度夜が来て、朝を迎えただろう。 一向に帰れるようすはない。 月日が、流れていくばかり。 深いため息が漏れた。 「かぐや姫様」 「八重さん」 知った顔に会って笑顔を向けてしまう。 ここしばらく退屈している私を見かねて、八重さんは時折話し相手に姿を見せてくれるようになった。 もちろん彼女は、かぐや姫が急に退屈そうになった理由を知らないけれど。
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