第二章

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おじいさんもおばあさんも、しょっちゅう顔を見せにくるけれど、今日は様子が違う。 おじいさんはそわそわしていて、「入ってもいいかい?」と聞いてきた。 「ええ、どうぞ」 戸惑いながら答える。 おじいさんはいつものように近くではなく、少し離れた場所に腰を下ろした。 八重さんは頭を下げて、そっと部屋の隅へ移動する。 なんだろう、この空気……。 とても、居心地が悪い。 もしかして……ばれた!? 本物のかぐや姫じゃないなんて、いつかはばれることだと思っていた。 かぐや姫が実際にどんな人だったか、私知らないもの。 やっぱりここは……謝るべきだろうか。 「仏のように大切なわが子よ」 「は……」 おじいさんの言葉を聞いて、用意してた言葉が消えた。 わが……子……。 ズキンと、胸の奥がうずく。
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