第二章

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これは……知ってる。 もしかして……もしかしなくてもこれは…… 結婚しろということ!? 「あなたも女性だ。爺が生きている間はこのままでもいいでしょう。しかし、長い年月、熱心に通ってくださる公逹(きんだち)がおられることをよく考えて、どなたかお一人と結婚してさしあげてもよろしいでしょう」 ……熱心に通ってくださる公逹って、確か五人の。 台本を思い出す。 「わ、私はそんな……たくさんの方が熱心に通ってくださるような容姿ではありません」 これは本音。 私はかぐや姫ほどの容姿を持ち合わせていないし、というかかぐや姫じゃないし。 「ていうか私、まだ学生だし……」 「え?」 呟いた声が届いたのか、おじいさんが首をかしげる。 「か、軽々しく結婚して、後悔するに違いないと不安です。天下の恐れ多い方と分かっていても、深い志を知らないままに結婚などできません」 慌てて覚えている台詞を続けた。 おじいさんは悲しそうな顔をする。   「思ったままを言う子だ。いったいどんな志のある人なら嫁ごうと決心できるのだ。あの人たちは並々ならぬ志の方々であろうと思うのだが……」  
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