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石作(いしづくり)の皇子には、仏の尊い石の鉢を。
庫持(くらもち)の皇子には、東の海、蓬莱(ほうらい)という山にある、銀を根とし金を茎とし真珠を実とする木を一枝。
右大臣の阿部御主人(あべのみうし)には、唐土(もろこし)にある火鼠の皮衣を。
大伴の大納言には、龍の頸にある五色に光る珠を。
石上の中納言には、燕の持っている子安貝を。
もちろんおじいさんはこれを聞いて苦い顔をした。
「どれもこの国にはないものばかりです。どう伝えれば……」
「どうぞそのまま、お伝えください」
笑みを浮かべて言うと、おじいさんは渋々部屋を出て行った。
みなさんがあきらめてくれれば一番いいんだけれど……。
第一、私を見たら結婚したいなんて思わないはず。
私、かぐや姫じゃないし。
「あーあ……」
思わずため息。
「かぐや姫様ったら」
後ろから同じくため息が聞こえてくる。
八重さんだ。
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