第二章

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石作(いしづくり)の皇子には、仏の尊い石の鉢を。 庫持(くらもち)の皇子には、東の海、蓬莱(ほうらい)という山にある、銀を根とし金を茎とし真珠を実とする木を一枝。 右大臣の阿部御主人(あべのみうし)には、唐土(もろこし)にある火鼠の皮衣を。 大伴の大納言には、龍の頸にある五色に光る珠を。 石上の中納言には、燕の持っている子安貝を。 もちろんおじいさんはこれを聞いて苦い顔をした。 「どれもこの国にはないものばかりです。どう伝えれば……」 「どうぞそのまま、お伝えください」 笑みを浮かべて言うと、おじいさんは渋々部屋を出て行った。 みなさんがあきらめてくれれば一番いいんだけれど……。 第一、私を見たら結婚したいなんて思わないはず。 私、かぐや姫じゃないし。 「あーあ……」 思わずため息。 「かぐや姫様ったら」 後ろから同じくため息が聞こえてくる。 八重さんだ。
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