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「今日、まさに天竺へ鉢を取りに参ります」
石作の皇子から早速届いた手紙を、八重さんが読み上げた。
私宛だとわざわざおじいさんが渡してくれたけれど、例によって文字が読めない。
そこで八重さんに頼んだわけだ。
ほんとに行くんだ……、とまずはびっくりする。
「大丈夫でしょうかね」
八重さんは手紙を畳みながら心配そうに言う。
「庫持の皇子も、玉の枝を取りに行くと言って出掛けたそうです。今朝方使いの者が見えました」
「そう……」
「他の方たちも、きっとお出かけになったでしょうね……」
「ええ……」
「もう!」
生返事ばかりを返していると、八重さんがむくれた顔で隣に腰かけた。
最近の八重さんは感情を表に出してくれる。
これは……気を許してくれてるって言うのかな。
「殿方が哀れに思えてきます。せめてちゃんとお返事なさればよろしいのに」
八重さんはあきれ顔。
私は苦笑を返すしかなかった。
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