第二章

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あれからまた夜が来て、朝が来ての繰り返し。 とはいえ、何の動きもない。 石作の皇子も、庫持の皇子も、出かけると連絡があったっきり。 他3名については音沙汰すらない。 物語が動き始めたと思ったのに、案外進まないものだなーと思ってしまう。 そりゃあ、無理な要求したこちらが悪いのかもしれないけれど。 「もう諦めてしまわれたんでしょうか……」 八重さんが心配そうに呟いている。 それならそれで……と思った私は、こっそり舌を出した。 「翁様も嫗様も、ご心配されていますよ」 それは少し申し訳ないと思う。 でも、結婚するわけにはいかないのだ。 私、かぐや姫じゃないし。 ふうっと息をつきながら、外に視線を向けた。 御簾で隔てられたこの部屋。 慣れてはきたけど着物は歩きづらいし、外にいるところを見られるとすぐに部屋に戻されてしまう。 外に出てはいけない、と直接的に言われたわけじゃないけれど、そんなことはみんなの態度で分かる。 何とも退屈なところだ。
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