第三章

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急に聞きなれない声が響いた。 驚いて御簾の方を見ると、背の高い人影。 あれが……庫持の皇子? 「皇子の言うことはもっともだ。この国では見ることができない玉の枝がここにある。どうしてお断りすることができるだろうか。人柄も、とても良いお方だよ」 おじいさんはすっかりその気だ。 「寝室の用意をしよう」 おじいさんは立ち上がり、部屋を出た。 「さ、皇子もこちらに」 庫持の皇子を連れて行くらしい。 二人の話し声が、徐々に遠ざかって行った。 「本当に素晴らしい品」 八重さんは近寄るのも恐れ多いというように、遠くに控えてまじまじと見つめている。 「どうしよう」 口にすると体中が熱くなった。 どうしようどうしようどうしよう!! このままじゃ……結婚させられちゃう!!
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