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御簾の向こうに、大臣と思われる人の影が現れる。
隣にはおじいさんの影。
二つの影に呼びかけた。
「火鼠の皮衣は、火で焼いても焼けないといいます。実際にその通りになれば、求婚も受け入れることができるでしょう。おじいさんは本物だろうとおっしゃいますが、やはり私は実際に焼いて試してみたいと思います」
「この火鼠の皮衣は、唐の国にも無かったものをようやく人に尋ねて探させ、手に入れたものだぞ。いったい何の疑いがあるというのだ」
大臣の声だろう、不機嫌そうに続ける。
「こちらも自信がある。そこまで申すのなら、早く火で焼いてみなさい」
大臣の言葉を聞いて、八重さんに衣を渡す。
八重さんは用意してくれていた火の中に衣を投げ入れた。
「ああ……」
大臣から悲痛な声が漏れる。
炎は一瞬大きくなり、メラメラと衣を焼き尽くしてしまった。
「なごりなく燃ゆと知りせば皮衣おもひの外におきて見ましを」
――このように燃えてしまうと知っていたら、皮衣を火の中などに入れずに外に置いて、その綺麗な様子を眺めていましたのに。
思わず呟いたが聞こえたのか、八重さんが机に向かっていた。
折りたたんだ紙を渡される。
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