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中納言からはすぐに返事が来た。
「かひはかくありけるものをわび果てて死ぬる命をすくひやはせぬ」
八重さんが読み上げる。
この意味は覚えていた。
あまりに悲しい歌だと思ったから。
――貝は見つかりませんでしたが、姫からお見舞いの歌を頂き、甲斐はありました。しかし、そのようなお気持ちがあるのに、どうして落胆と恥ずかしさで死にそうな私の命を、姫は匙で掬うように救って下さらないのですか。
胸が締め付けられるような気持ちだ。
「中納言様……この歌を詠んですぐにお亡くなりになったそうです」
八重さんが教えてくれる。
けれど物語の流れで知っていた。
物語の中で、この話が一番嫌い。
どうしても、中納言が可哀想に思えてしまって。
かぐや姫に求婚しなければ、こんなことにはならなかったのに。
かぐや姫だってもちろん、中納言を可哀想と思ったらしいけど……。
かぐや姫の代わりとは言え、自分の要求で人が死んだと聞いては気分が悪い。
人殺しにでもなった気分だった。
そう思って、愕然とする。
これは、人殺しだ……。
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