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「大納言様からも音沙汰ありませんし、あきらめてしまわれたという噂を聞きます。……そうそう、竜の珠を取りに行って竜の怒りに合い、両目が李(すもも)のように腫れてしまったとか」
どくんと身体が熱くなる。
私のせいでまた……。
これで求婚者は全滅。
嬉しいはずなのに、嬉しくない。
私がしたかったのは人殺しじゃない。
ただ、結婚したくなかっただけなのに。
八重さんは私を責めない。
もちろん、おじいさんも、おばあさんも。
ただ、残念がっているだけ。
この世界では普通なの?
それでも……それでも、私が依頼したことで死んだり、苦しんだりしてる人がいるのは事実だ。
「ごめんなさい、八重さん。一人にしてもらってもいいですか……」
出した声はかすれていて、自分でもささやき声みたいだと思った。
八重さんは心配そうにこちらを見つめ、しばらく迷っていたようだったが、やがてゆっくりと一礼して部屋から出て行った。
視界が滲む。
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