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わくわく……それは、するかもしれない。
現実世界では絶対になり得ない「かぐや姫」。演劇の中なら、それになれる。
「でもそこまで思い入れがあるなら、美央がやった方が合ってると思うんだけどなあ……」
演劇部での本読みを思い出しながら、つくづくそう思った。
途中入部とはいえ、昨日入った私に比べたら美央の方が発声も、感情の入れ方も段違いにうまい。
見た目だって美央の方が華やかだ。
美央は髪や容姿を褒めてくれたし、部長の七尾さんもイメージにぴったりだと言ってくれたけれど、平安朝の鬘(かつら)を美央にかぶせれてば十分だと私は思う。
「七尾さん、脚本も書いてるの。結構演劇に厳しいんだ。その七尾さんが、私じゃなくて葵がイメージ通りって言ったんだもん。部長命令は絶対よ!」
後半は茶目っけを含みながらも、美央は本気で言っているようだった。
そっか……七尾さんって脚本書いてるんだ。
すごいなあと純粋に思う。
「そんな卑下してないでさ、楽しもうよ。演劇って楽しいよ」
美央の笑顔を見てたら、確かにそうだなと思った。
演劇の楽しさはまだ分からないけれど、なってみよう。
かぐや姫、に。
「さあ! そうと決まれば続きいくよ!」
美央は元気よく追加文献を置いた。
再び、くらりとめまいがしたような気がした。
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