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なんだか一気に疲れが押し寄せてきた。
店の裏に停めてあるバイクを取りに向かうと、女もついてきた。
「わぁ!バイクの後ろに乗るの、初めてです!!」
はぁ!?
俺、コイツを乗せにゃならんのか!?
「なんで俺がお前と2ケツしなきゃならねェわけ?」
俺の発言に一気に不愉快そうな顔になるチビ女。
「12時まで付き合う約束ですよね~?貴方の発言、イミフです~」
イラッとした。
なにコイツ。
なんで赤の他人にそんなこと言われんの?
だが、ごり押しに負けたとはいえ、確かにそういう話だった。
予備のメットを女に渡し、単車のエンジンをかける。
「被れ。そして乗れ。つーか、どこに連れていきゃいいんだ?行きたい場所があるのか?俺はまだ何も聞いちゃいねェ」
女は照れたように笑って、スポッとメットを被ると、
「海浜公園。そこに連れて行って」
と言った。
こうして、名前も素性も知らない女と、なんだかわからないイブのデートが幕を開けたのだった。
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