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「そんなの自業自得ですぅ。私、関係ないですよ」
…ちくしょう、もう勝手にしやがれ。
「自販機で温かいもん買ってくる。お前もいるか?」
女は首を横に振り、また静かに海を見つめ始めた。
ま、いいか。
自販機でコーヒーを買い、女のところに戻る。
疲れたのか、ベンチに座っていた。
「お前、一体何なんだ?」
俺の問いかけに驚いたように顔を上げた。
公園の街灯が照らす女の姿が少し、変わったような気がした。
腕時計をちらっと見ると、23:45と表示されていた。
「…どうしても、今日じゃなきゃダメだったんです。もう、2度とこんなチャンスないから」
小さな声で女が呟いた。
俺は隣のベンチに腰をおろし、コーヒーをグイッと飲んだ。
「もう、時間がないですね。12時になっちゃいます。でも…こうして貴方が時間をくれたこと、とても感謝していますよ」
俺は、何も言わなかった。
「ずっと後悔していたんです。“あの日”からずっと…。だけど、貴方が声をかけてくれなかったら、悔やんでも悔やみきれないままだった。聖夜に起こる奇跡ってあるんですね」
女は、静かに涙を流していた。
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