彼女のホンネ

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―――――――― ――――― ――― 本当は、最初っから気づいていたんだ。 彼女が“この世のものじゃない”ことを。 俺はほとんどの場合眼鏡をかけて過ごしている。 なぜなら、俺には“視えてしまう”から。 神社の跡取りとして生まれた俺は昔から霊感が強く、色んなモノが視えていた。 視えるだけじゃない。話をすることも、触れることもできた。 そのせいで、幼稚園でも小学校でも中学校でも高校でも俺には友達が出来なかった。 なんせ、人とそうじゃないものが区別できないくらい視えてしまうせいで、他人から見たら「何もないところ」に向かって話しかける気味の悪い奴と思われてしまうから。 いつしか、豊かだった表情筋は死んだように無表情になり、少しでも「普通」であるために伊達メガネをかけるようになった。 メガネのおかげで、視えるものはずいぶん制限されたし、極力人と関わらない生活を送ることでなんとか一般社会に溶け込めるようになった。 それでも、今のバイトを始めてからは、ヘルメットを被るのにメガネは邪魔で。 今日も、配達のピークだからと外しっぱなしにしたのが運の尽き。
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