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登校してくるクラスメイトを気にして少しだけ声のトーンを下げて答えると、遥は納得したような表情でまだ来ていない前の席の人の椅子に腰掛けた。
隙間から見えるプリントが今にもなだれ落ちてきそうで、ほんの少しだけハラハラする。
「だから作ろうと思ったわけか。で、告白するの?」
「告白はまだ、かな。とりあえず気持ちだけでも知ってもらいたいなあって」
「ふーん」
告白しないと聞いて若干興味が薄れたのか、遥は机に肩肘をつきながらぺらりとページを捲って雑誌お馴染みのモデルのメイク裏技を見始めた。
何よ、聞いてきたのは遥の方なのに。
「ちょっと、何その興味なさ気な反応」
「いや、だって告白しないとかつまんないしさ」
どうやら遥にとって私のバレンタイン事情は楽しませてくれるかくれないかだけが重要なようである。
何で私が遥を楽しませる話のネタにならなきゃいけないのだろうか。
気持ちはわからなくもないけど。
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