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「それで、どんなの作ろうと思ってるの?」
視線を遥から机の上に戻すと、いつの間にかメイク裏技からバレンタイン特集のページへと戻っていた。
どうやら少しは話に乗ってくれる気になったようだ。
「まだ具体的には決めてないけど、甘いものが苦手らしいからビターのお菓子にするつもり」
「誰からの情報? 本人?」
「いや、彩実から」
北本君の友達と付き合っている彩実は私の応援をしてくれているのか、趣味などのちょっとした情報を教えてくれる。
そしていつもその度に感謝しているのだが、情報料としてねだられるケーキやパフェといった出費には少々財布が痛い。
ここぞとばかりに高いものを頼む抜け目のなさにはある意味感心する。
「ふーん。あ、でも彩実別れたらしいよ。澁澤君と」
「え!? あんなにラブラブだったのに」
思い出したかのように言われた言葉に驚きを隠せなかった。
確かこの前話した時には、前から行きたかったお店に一緒に行けて幸せだったとか言ってたのに、何で別れることになったのだろう。
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