第2話

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 アイスミルクティーを飲んでいると直也が店へ入ってきて、 自分も同じ物をウエイトレスに注文する。  しばらくすると、アイスミルクティーが運ばれ、 一気にグラスの半分までストローで飲み干す。  あー、今日は暑い、雨上がりだから余計蒸し暑い……、と、 直也が言い、ハンカチで額の汗を拭く。  あれ、今晩、また、雨振るの? と、直也が舞香へ訊く。 「多分、振らないと思う……」  舞香が答えると、だって、それ……、と、 舞香の椅子の横に掛けてある水色の傘をさして言う。 「ちょっと、欲しかったから……」  舞香がそういうと、あ、そうなんだ、と、素っ気なく言って、 そういえば、イタリア旅行の件なんだけど、 もう、準備している?と、訊く。 「まだ……」  舞香が不安そうに答えると、 「じゃ、スーツケースとか、買わなきゃね」と、言った。  舞香は、そうね……、と、しばらく考えて、 「買わなきゃ」と、言う。 「これから、見に行こうか……、みなとみらいに確か、 あったような気がするからさ」 「本当?」 「ああ、じゃ、行こうよ」  そう言って、直也は舞香を促す。  みなとみらいのモールでスーツケースの専門店を見つけ、 カラフルな磨き上げられたスーツケースの表面を 見ていると心地良かった。 「あんまり、長期じゃないから、これぐらいで良いんじゃない?」 そう、直也が良い、表面が波打つ特殊な加工で軽量の スーツケースを指差す。
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