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タクシーはレイコとケイスケを乗せて住宅街の路地を曲がって足早に夜の闇へ消えて行った。
次の日の朝、レイコからメールが届いて、金のことなら
心配いらない、と、書いてある。
舞香が首を傾げて読んでみると、ケイスケが都合して
くれると書いてある。本当にケイスケさんって、良いひとね、
とも書いてあった。
すごいセックスする、と、書いてある。
舞香は思わず、電話を閉じて、ベッドの上へ放り投げた。
あいつら……、と、思うと、なんだか無性に腹が立って、
会社に行く気にもなれない。
TVをつけると朝のニュースが映った。天気予報が流れる。
今日は、朝から雨模様。傘マークが日本列島を埋めている。
カーテンを開け、窓の外を見ると、雨が降っている。
窓を開けると、湿った空気が流れ込んで、エアコンの大気と混ざり合う。
直也は今頃、何をしているのか、と、ふと、思うと、
転がっていた電話をとっさに手に取り、無意識の内に
直也へメールを送っていた。
雨上がりの夕方に、表参道ヒルズでショッピングを済ませ、
今日は直也が横浜支社で打ち合わせとのことだったので、
渋谷まで出て、東横線へ乗り元町中華街で降りた。
元町のブティックを散策すると、午後6時半を回って、
辺りは夜の帷に包まれ始める。
淡い水色の傘が綺麗だったので1本買った。
もう、今夜は雨は降らないだろうと思ったが、
衝動的に買ってしまった。
直也は元町のアメリカントラッドの洋服店を見たい、
と、言っていたので、その店の前の喫茶店で待ち合わせをした。
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