第3話

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「大学生の頃、良く三人でいっしょに トランプしたじゃない、だから、しようよ」  ミスズが舞香に囁く。  レイコがカードの束を切り始める。  最初はゆっくりカードを切っていたが、 しだいに早くなり、目に見えないスピードでカードを切ったかと思うと、 カードの束を三人の中心に置いた。 「じゃ、舞香、最初に引いて……」  舞香がカードを引く。 「それじゃ、そのカード、表にして」 ミスズが言う。 おもむろに舞香がカードをひっくり返すと、ジョーカーだった。 ミスズの目が変る。 「やっちまったな、お前、ほんと、馬鹿、なんで、 こんなこともできねぇーんだよ、ほんとにアホ、 だからこういう始末になるんだよ、舞香、わかる?」 豹変したミスズは苛立ったように言って、さぁ、早くしろよ、と言う。 「何をするんですか……」  怖くなって舞香がミスズに訊く。 ミスズとレイコは無言のまま隣の部屋を指し、 その部屋へ行けと、言う。  舞香は立ち上がって板の間を歩いてゆく。   次の間には板の間の上に銭湯の番台のようにも見える背の低い、 帳場があり、そこにさっきの老婆の一人が無言で座っている。 カネを置いての襖を開けろ、と言う。  舞香はワンピースの胸ポケットから小銭を出し、老婆へ渡すと襖を開けた。 白い砂浜が広がり、蒼い海の潮騒が聞こえる。
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