第3話

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舞香が言うがその声は直也には届かない。  レイコがしゃぶっていた直也の男根を口から離して 片手で握り直すと、振り返り、にやりと舞香にむかって笑う。    笑ったレイコの口から覗く前歯が強い太陽の光で鈍く銀色に光る。   ミスズが後ろからやってきて、レイコを押し倒し、 直也の男根を口いっぱいにほおばる。 「もう……」  舞香の瞳には涙が潤み、レイコとミスズを直也から 離そうと立ち上がるが歩いて行けない。  直也の男根が黄金色に光り、女達が、あ、カネだ、カネ、と、叫ぶ。    レイコも起き上がり、ミスズと一緒に直也の男根をしごき、 カネ、カネ、早く出してくれ、と、大声を出す。  舞香には潮騒の音しか聞こえない。  何がなんだかわからず、哀しい。 「早く、舞香、こっちへ来なよ、早くしないと 全部おカネなくなっちゃうよ」 ミスズは舞香に向かって言う。  ようやく、舞香が一歩ずつ歩けるようになり、 直也の元へ走って駆けつけ、倒れた直也の身体を揺さぶると、 直也の身体は砂の中へ崩れるように消滅し貝殻だけが手元に残った。 「どうしたんだよ、な。どうした?」  直也が舞香の肩を揺する。 「え?」  舞香は目覚めて、直也の顔を見つめる。 「もうすぐパリだぞ」 「え? もう?」  ああ、……、と、直也は言って、窓のシェードを上げる。
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