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「紹介するわね。彼女は筑波早苗」
「お、オレ、やっぱ辞めます!! こんな妖怪と一緒に仕事なんて出来ません!!」
「あ"ぁ"!? 妖怪とは上等こいてくれんじゃねーか!! 死ぬかコラ!!」
ちょ、待て!! ここはヤクザの事務所か!?
「まぁまぁ、落ち着きなよサナ。っていうか『辞める』? まだ働いてもいないのに」
ナッちゃんは落ち着いた声で早苗と呼ばれた少女を諭す。
たしかに働いてもいないのに『辞める』は変だな。『面接辞退』だろう。
そう考えている間に、ナッちゃんは次の言葉を言っていた。
「まだ辞めてもらうと困るのよね。ほら、これ」
「え…?」
彼女に渡された3重折り書類を見てみると…
いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん……
800万円の請求書だった。
「この間の浄化料よ」
「じ、浄化料って……こ、ここ!! ここに居るじゃないスか!! だいたい払えないスよ、こんな大金!!」
オレは必死に早苗を指差す。
「浄化したわよ、サナの記憶をね。これでもちゃーんと学割適用してるんだから、感謝してほしいくらいだわ。今から働いていいわよ」
…鬼だ。
まさか、タダ働き…?
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