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働いてもいいよ、と言われても一体どうすれば良いのかが不明。
炊事? 洗濯? 掃除?
「あ、あのぉ~…」
「ん? どうかした?」
「いくつか質問なんですけど………仕事って…一体…?」
「今はやる事ないよ。基本的には電話番ね。だれから、いつ電話が来たのか。電話の内容とか」
次に、肝心な話に移行する。
きゅ、給料…。オレは金が欲しくて、仕事しにきているんだ。
「あの…お給料は…?」
「え? …そうね」
『そうね』って、やっぱ考えてなかったんかい。
ナッちゃんは電卓でカタカタ打ちながら目を細めている。
「んー…ま、こんなトコロね」
表示された金額は、なんと200円だった。
「え!? ちょっ─」
「もちろん、これは時給だから」
「いやそういう意味じゃなくてっ!! だいたい福岡の最低時給はこの間712円になったばかり─」
「……ふーん。なら、それでもいいわよ」
「へ…?」
随分あっさりと肯定してくれた。
「712円の時給で8.000.000円の借金だから……ふむ、なるほど」
カタカタカタカタと目まぐるしいスピードで計算機が回し、ニヤリとオレに歪んだ笑顔を向ける。
……内容はオレに教えてくれなかった。
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