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「それじゃあ、今から出かけてくるから近藤クンの事よろしくね。サナ」
「…ふん。サッサと行ってきな」
「ホント、素直じゃないわね…。おやつは冷蔵庫に入ってるから、自由に食べてて」
クルマのキーを片手でポンポン投げては取り、苦笑いしている。
「な、ナッちゃん? どこへ…?」
「『呂隈所長』。友達じゃないんだから所長って呼びなさい」
「…『ナッち』は?」
「『所長』!! まぁ、『どこ行く』って…仕事よ。
あぁそうだ。買い出し行ってきてくれない?」
「買い出し…スか?」
「そうそう。サナは買い物に行ったことないみたいだからシステムとか教えてくれたら嬉しいんだけど」
そう言ってナッ…
…いや、所長はオレに諭吉を渡す。
こ、これ持って逃げようかな…? 1ヶ月は生活出来るぞ……
「このお金持って逃げたら…どうなるか分かってるわよね…?」
「ひぃっ!? そ、そんな事チラリとも考えてません!! やだなぁ、もう!!」
心を見透かされたようだった。
そんな能力があるようにも見えない上に、コロコロと表情を変えるあたり、オレの発言は冗談だと受け取ったらしい。
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