22人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
「我、眼界へ導く。
無隠の情熱へ慈悲は無し。
焦がれ赴く浄化への響音……」
「こ、この呪文は…!!」
雷稚が大きく目を見開いた。
突如、響く大地から電柱程の巨大な槍が姿を現し上空へと高く昇っていった。
ぐるん、ぐるんと縦に回転しながら僅かに上昇を続け、オレたちを捕捉したかのようにピタッと停止する。
…ま さ か
「ブラッディ・スピア!!」
一瞬にして放たれた巨大槍。
あまりの恐怖にオレは思わず目を瞑る。
鼓膜が裂けるかのような轟音と、土が弾け飛んでオレの顔面へとダイブしてきた。
恐る恐る目を開けると…
クレーターを作り、その周りに倒れている味方。。。
「手加減した事…有り難く思うんだね。ターゲット殺しちゃ意味ないし」
「ま…まさか…あなたが龍騎士…だなんて…」
弱々しい口調で雷稚は呟く。
味方も味方で恐ろしく頑丈な体だ。
あれだけの衝撃を受け、五体満足なのだから。
「おっと、喋るな。死んじまう」
懐からペンライトのような物を取り出し、雷稚の額に光を当てた。
空気に同化させていた角を照らし、軽く頷いている。
「神通力、約289000。雷神と断定…。よし」
最初のコメントを投稿しよう!