プロローグ

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ーーーー雨。 強い雨が降っていた。 人の声すらも掻き消してしまうほどの豪雨。 その激しい雨に晒されている人物がそこにいた。 この雨の中で傘も差さないなんて、どこかに傘を忘れたのか、傘なんて差している間もないくらいに急いでいるか。 あるいは…… 傘を差せない状態にあるか、だ。 そしてそこにいる『人物』はその『傘を差せない状態』にあった。 頭から血を流し、ぐったりと横たわり雨ざらしの状態。 既に意識はなく、ピクリとも動かない。 雨音を掻い潜った声が遠くで聞こえていた。
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