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「嘘!」
毎日病院にいる私には全く何も起きていないのに、お見舞いに来ている弥生に奇跡が起きていたなんて。
「美鈴が運ばれたとき、ついて来たでしょ。私物凄くテンパッちゃって、手術が上手くいったって出てきた先生に抱きついちゃったのよね」
初耳だった。
弥生が取り乱すなんてことも、私の手術をしてくれた先生に抱きついたことも。
「で?」
「頭をよしよししながら宥められてさ、きゅんとしちゃった」
もうすっかり私の手術のことは頭から消えていたということね。
そこからもうアタックをしたであろうことは聞くまでもない。
たしか30代前半くらいの穏やかな雰囲気の先生だった。
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