真夜中の訪問者

21/35
前へ
/35ページ
次へ
しばらくしてまたさっきの靴音がこちらへ近づき始めた。 ベッドの枕元にたった気配を感じ、起きていることがばれないように無心を心がける。 眉間にシワなんて寄せたら一瞬でばれてしまう。 薄目を開けてみれば、ぼんやりと見える腰から下の衣服。 紛れもなくスーツ姿の男性で。 私が起きていることに気付いていないのか、その人は静かに私の髪に触れた。 あ、この香り……。 覚えのある香りに胸が高鳴る。 出来るならずっと触れていて欲しい。 その手は1度離れ、ベッドの横に置かれた椅子に腰掛ける気配。 .
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

603人が本棚に入れています
本棚に追加