真夜中の訪問者

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今目を開ければ誰か確認できるとわかっているのにどうしても開けられない。 必死に深呼吸してばれないように祈る。 その人は静かに点滴をしているせいで布団から出ている私の手を握りしめた。 驚いて動いてしまいそうになった。 もしかしたら一瞬動いてしまったかもしれないけど、気付いていないのか気にしていないのか。 特に反応はなかった。 セーフ。 心の中で呟く。 大きくて少し冷たい手が、時間が経つにつれて私と同じ温度に変わっていく。 何も言わず、ただ手を握っているだけ。 .
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