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少年「後少し!」
少女「きゃ!」
少女が躓き転けた。少年はすかさず少女を背負い走る。が、無情にも悪魔達は既に出口に陣取っていた。
少年「ちっ!」
少年は舌打ちをし、右の建物に逃げ込む。これでは袋の鼠となるばかりだ。少年もそれは理解していた。手近にある柱に身を隠し息を殺す。懐を探り刃渡り30㎝位のナイフを取り出した。
少女「お兄ちゃん・・・どうするの?」
少年「・・・。俺があいつらを引き付けるからお前は逃げろ。」
少女「無理だよ・・・あんなのに勝てる訳ないよ~。」
少年「このままじゃ二人共死ぬ。せめて・・・せめて結花、お前だけでも生きてくれ!」
少女ー結花と言う名前らしいはー涙ぐみながらもコクンと頷く。少年は微笑み、神経を尖らせた。悪魔達が近づいてくる。少年は一気に柱から飛び出て一番前にいた悪魔の喉元を切り裂く。白いパーカーを悪魔の黒い返り血が染める。
少年「行け!結花!」
少女は駆け出した。それを追いかけようとする悪魔を少年は背後から頭を突き刺す。絶叫と共に悪魔は絶命した。
少年「おら!掛かってこい!俺が相手してやる!」
少年ー黒噛 凶弥ーくろばみ きょうやーはナイフを握り自分の脇腹付近まで右手を下げる。悪魔は仲間を殺され激怒したのか凶弥に向け鋭い爪を振りかざす。
10分ぐらいたった頃漸く悪魔を全て殺し終え結花の後を追おうとした。悲鳴が聴こえる。
凶弥「結花!」
凶弥は走り出した。速くもっと速くと自分を叱る。凶弥が出口に着くと正に今、小さな命を刈り取ろうとする悪魔の爪が結花の心臓に突き刺さる。
凶弥「結花ぁぁぁ!」
凶弥は無我夢中で走った。結花の小さな体が地面に倒れる。凶弥は結花を抱き上げ声をかける。
凶弥「結花!結花!嘘だろ?結花!目を覚ましてくれ!結花!」
「グケケケケ!」
悪魔の不愉快な笑い声が聴こえる。凶弥の中で何かが音をたて切れた。
凶弥「うおぁぁぁぁ!!」
逆上した頭では冷静な判断は出来ない。結花を殺した悪魔を殺すと同時に凶弥の命も尽きた。
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