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シュン「カビ臭い。」
強烈な臭いに顔をしかめる。ハルも嗅覚に障るのかシュンの匂いを吸い込むように胸に顔を埋めている。
シュン「ん。『音探知ーソナー』。」
モスキート音ー人間が成長するにつれ聞こえなくなっていく音の周波数だ。それが壁にぶつかり地図を作る。
シュン「下の方に人がいる。数からして捕まった人かな。」
シュンは地面に手を当て、目を閉じる。すると床が徐々にシュンを呑み込み始めた。シュンの体がその場から消えると同時にの下の階層からとんと音が鳴る。
シュン「ん。『地潜ーちせんー』。上手く出来た♪」
『地潜』はその名の通り地面に潜る魔法だ。この1ヶ月で大分と魔法を使えるようになっていた。基本的に魔法は使わないのであまり意味はないのだが。
シュン「牢屋は・・・もうちょっと先か。」
シュンは音をたてないように某猫型ロボットよろしく3㎜ほど浮いて前に進んだ。
暫く進むと明らかに見張りと言ったふうに男が立っている。
シュン「面倒。『眠りの霧』。」
白い霧が男の鼻に侵入した。途端に男は崩れ眠りに着く。
シュン「ん。おやすみ。」
無表情で言い放ち、歩く。
「坊主・・・一体?」
初老の男がシュンに問いかける。
シュン「ん。一応、帝。」
「み、帝?お前みたいな子供がか?」
シュン「・・・これでも14だよ?お爺ちゃん?」
悪戯っぽく笑い、初老の男を見る。
「そ、そうか。そりゃすまない。ここに来たってことは・・・。」
シュン「ん。助けに来た。」
牢の中が歓声で湧く。一人を除いて。
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