第1話

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バラのつぼみのようなふっくらとした唇がそっと動く。 「ありがとう。お父さん…」 ほら、やっぱり。 何も言えなくなってしまったよ。 「お時間です。まいりましょう。」 腕を差し出すと、小振りの手が優しくかけられた。 幸せにおなり… 胸の中でだけ呟いた。 「さ、行こう。」 静かに共に歩き出す。 聖堂で待つ、新しい幸せを約束する若い手に渡すために… 了
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