餃子頭の茶屋

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案山子は珍しいものを見るようにキョロキョロと辺りを見渡し驚いている。 「クローゼット。 彼は本物のご主人さまにゃん。」 招き猫は箪笥に向かってひそひそと話をしている。案山子にはご主人さまと言われることが理解出来なかった。 「僕は、ご主人さまと呼ばれるものなんですか。」 「そうですにゃん。ご主人さま。」 招き猫は当然のように答える。 箪笥は案山子に腕を差し出すように向かって右側の扉を開いた。 扉に抱えられた鏡には案山子の姿が映し出される。藁色の髪は変わらず古びた竹のような腕は折れ曲がり一本だったはずの足が二本に増えている。 その変化に案山子は驚いた。 「あれ、足が増えている。 この先についている枝はなんですか。」 案山子は招き猫と箪笥に両腕を差し出した。 箪笥は敷居を乗り越えて姿を変える。 「ご存知ないのですか。ご主人さま。 それは指といいまして人の姿になると生えてくるのですよ。」 箪笥の変わりように案山子は驚いた。 四角い板のような姿はなく、すらりと伸びた身の丈で頑丈そうな青年のような形をした箪笥が幼き子供を抱え上げているのだから。 鏡らしき、子供はしゃべり出す。 「ご主人さまは何も知らないの。私はミラーよろしくね。」 案山子は頷いた。鏡は、にいっと笑い姿を戻し案山子を映し出した。 「頭のこれはなんですか。」 腕をあげて白いヘッドドレスを擦りながら案山子は不思議な顔をする。今まで指差していた腕が動くことがとても嬉しいようだ。image=478508956.jpg
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