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「おめぇ、ほんとか? 今日は集配の馬車が来る日だろ。どっか、その棚に埋もれてたりしないか」
「してねぇよ。こりゃ全部、今日出すモンと受け取り手のねぇ奴のだよ。死んじまった奴とか、他所に行っちまった奴とか」
何か思い当たるのか、レオンは「ああ」と頷いた。
「返したくても、こんな辺境じゃな。ま、その内来るだろうから、そん時に」
ふわりと風が吹く。
「いや、そんな事よりおめぇ、手紙来てねぇのか」
「しつけぇな、じいさん」
メイが苛立たしげに本を置いた。
足を床に下ろし、レオンにしかめ面を向ける。
「大体じいさんよぉ。着いたらちゃんと鐘を鳴らして知らせるっつってんだろ。大人しく家で待ってろよ」
「バカヤロウ、可愛い孫娘からの手紙だぞ! 一番に手に入れて、じっくり読みてぇじゃねぇかよ」
「あーはいはい、そうですか」
「そうだよ」
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