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直人くんは私の言葉に冷めたのか、カラダを起こしてベッドに腰を掛けて座り直し、サイドテーブルのお茶を手にした。
下の誰もいないリビングからはつけっぱなしのテレビの音がわずかに聞こえてくるけれど、
直人くんがお茶を飲んで喉を鳴らす音は異様に大きく響いていた。
私はベッドの隅に膝を抱えて座り、両足を布団で隠した。
直人くんはグラスを置いて、私を振り返る。
「俺が30なんだから、奈々ちゃんも30。それくらいわかってる」
「そうだけど…」
「俺、若い子が好きだとか、スタイルがいいコが好きだって言ったっけ?俺は言ってもないし、思ってもいねえ」
直人くんは私を責めるように言った。
私は顔を小さく伏せた。
「肌がどうとか、胸がデカいとか…そんなこと思って抱いてない。そんなの全然興味ねえよ。だいたい…そんな奴らとのアレなんて、幻を抱くのと同じこと」
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