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果歩のところに
帰ればよかった。
そう
後悔していた。
でも、終電の時間はとっくに過ぎて、
彼はお酒を飲んでいる。
東京で右も左もわからない私は
完全に
迷子だった。
行く宛をなくした…
…本当の迷子。
「直人くん、もう…寝てもいい?私、眠くなっちゃった」
視点の定まらない私は本当に眠そうに見えるかもしれない。
実際には
眠気は覚めていた。
その代わりに頭痛がしていた。
「…シャワー浴びるだろ?こっち」
直人くんは階段を先に上り、私をお風呂場へ促した。
私は買ってきた安物の下着や化粧水を持ってロフトに上がった。
「これ、タオル、Tシャツと短パン。上がったら適当に寝て。俺、下で寝るから」
「…ありがと」
直人くんは着替えを用意してくれて、そのまま下に降りた。
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