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週が明け、1週間のスタート。
松本部長のいない会社は、なんだか物足りなく寂しく感じた。
松本部長の取り巻きの女子社員の間では、松本部長とあたしが決起大会の二次会にいなかったと、ちょっとした騒ぎになっていた。
あたしが酔って化粧室にいたことを知ってた村上さんが、松本部長と一緒なはずないと、噂を一掃してくれた。
何かを忘れるようになのか?自信をつけるためなのか?
あたしは、とにかくいつも以上に仕事をこなした。
午後の休憩時間に入り、コーヒーを飲んでいると課長がやって来た。
「桜井さん。ちょっといいかな?」
「はいっ」
「先週頼んでおいた仕事。まだ出来上がらないかな?」
「えっ!?存じませんが?」
「先週デスクに置いておいたぞ!すぐに確認してくれっ」
ちょっとイラついている課長の前に宮前さんが現れた。
「課長それは私が代わりにしておきました。桜井さん、間違えてゴミ箱に捨てていたようなので」
ゴミ箱!?ウソでしょ!?
「宮前さんがフォローしてくれたのか、ありがとう。」
宮前さんに笑顔を向けた課長が、あたしを振り返り不機嫌さを露にしながら言った。
「桜井君は、気をつけるように!うちの課は、大切な書類を扱ってるんだからね!」
「大変申し訳ありません。気をつけます。申し訳ありませんでした」
完全にあたしのミスだと思っている課長には、謝るしかなかった。
課長と立ち去る宮前さんの後ろ姿を見ながら、あたしは残念で仕方なかった。
そこまでして松本部長を狙っているなんて……
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