2682人が本棚に入れています
本棚に追加
ふたりで並んで部屋へ向かう。
エレベーターを降りると、さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返っていた。
ドアの前まで来て、宮前さんが抱きつくシーンが甦える。
無意識に目を逸らした。
玄関に入ると、宮前さんもこの部屋に入ったのだろうかと気になった。
「宮前を部屋に入れたことはない。もちろん玄関にも。さっきは、偶然住民と入れたのか?ここで先に待ち伏せしていたんだ」
「あたしは、別に……」
「気になっただろ?でも、信じてくれ。俺は、この部屋に他の女を入れたことは一度もない」
真っ直ぐな瞳……嘘をついてはいない。
ただ、あたしだけを見て、あたしだけに見せる素直な心。
そんな松本部長を、愛しく思った。
「……信じます」
あたしは、自分からそっと松本部長の頬にキスをした。
最初のコメントを投稿しよう!