◇◇ 第5章 ふたりの朝 ◇◇

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「では、そろそろお開きに……」司会者の声が響く。 やっと終わった。眠くて倒れそうだ。 ほんのちょっとのアルコールでこれでは、先が思いやられる? 意識が途切れそうなのを必死に堪えながら 万歳三唱をした。 バンザーイ……バンザーイ……バンザーイ…… いったい何がめでたいんだ~! あたしは、完璧に酔っていた…… 決起大会も無事終わり、あたしは誰にも二次会に誘われないよう、化粧室で時間をつぶした。 しばらくすると、みんなが二次会に向かったのか?ロビーが静かになった。 そろそろ帰るとしますか。 そっと化粧室から出ると千鳥足で出口へ向かう。 すると、ふわっと腕を捕まれた。 「えっ…?」 「大丈夫か?」 「うそっ!?松本部長。二次会に行ったんじゃあ?」 「送ってやるから」 「えっ!?いいです。そばに来ないでください!松本部長の取り巻きにやられちゃいますから」 「なっ……そう言うことか。じゃあそれはゆっくりコーヒーでも飲みながら話そう」 「いやっ、だからそうじゃなくて!」 しかし、すでに酔いが回った体では抵抗できず、ただ引きずられるようにタクシーに乗せられた。
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