◇◇ 第5章 ふたりの朝 ◇◇

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その声に気づいて主人あらわる。 「おはよう。よく眠れたか?」 「松本部長……」 「おいで」 驚きと言うよりも……穏やかな優しさに、あたしは吸い寄せられて行った。 松本部長の右手があたしの左頬に触れる。 「大丈夫か?」 そのままそっと腰に手が回り抱きしめられた。 「ダメだぞ、飲めないのに飲んじゃ。俺がいなかったらどうなってたことか……」 耳元で囁く声が心地よく……まだ夢の続きにいるようだった。 あたし……どうしたらいいの? 魔法にでもかけられたように、何も出来ずにただ立ちすくんでいた。 その間にも、右の耳朶を口に含まれ、優しく首筋にキスをされ…… 思わず声が漏れた。 「ぁっ……」 思わず自分でもびっくりな甘い声に、あたしは真っ赤になっていった。
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