◇◇ 第5章 ふたりの朝 ◇◇

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チ~ンッ 無情にも、トーストが出来上がった音がした。 「食べるか…」 名残惜しそうに離れながら、微笑んだ松本部長が言う。 やっぱり大人…あたしはドキドキして食事どころではない。 食卓には、トーストとサラダ、そしてベーコンエッグが並んだ。 スゴい、スゴすぎる。 「何でも出来るんですね」 「何が?」 「料理も仕事も……全部」 「一人暮らしが長くなると誰でも出来るよ」 また、その謙虚さがたまらない。 「ありがとうございます。いただきます」 本当に美味しくて、しかも自分を大切にしてくれる人と……なんて贅沢な時間なんだろう。 あたしは、おもいっきり幸せを噛みしめた。
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