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「和也……お前、マジなんだな」
更科さんが、そっと静かに声をかけた。
「あぁ、悪いか?」
「いやっ、親友としてうれしいし、大切な瞬間に立ち合えたこと……本当にうれしいよ。よかったな和也」
「あぁ。ありがとう」
2人の会話を聞きながら、すっかりあたしは、感動していた。
「璃子。泣くなよ」
そう言いながら和也さんは、あたしに近づいて左手を手に取り、指輪を見ながら話し出した。
「璃子。ウェディングドレス着てたから、つい『結婚しよう』って言ってしまったけど、その気持ちには嘘はないんだ。だけど、会社に入ったばかりのお前に結婚は、重すぎるだろ。だから、本当は、結婚を前提にお付き合いしてくださいって意味を込めて、この指輪を用意したんだ」
和也さんは、真っ直ぐな瞳で、真剣に誠実にあたしに話した。
「璃子。受けてくれるね?」
あたしは、真珠のような涙をこぼしながら
「……はいっ」
と、返事を返した。
見つめ合う2人。
「おいおい続きは家に帰ってからにしてくれよ」
にやけた更科さんが呟いた。
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