◇◇ 第9章 プロポーズ? ◇◇

12/15
2378人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「和也……お前、マジなんだな」 更科さんが、そっと静かに声をかけた。 「あぁ、悪いか?」 「いやっ、親友としてうれしいし、大切な瞬間に立ち合えたこと……本当にうれしいよ。よかったな和也」 「あぁ。ありがとう」 2人の会話を聞きながら、すっかりあたしは、感動していた。 「璃子。泣くなよ」 そう言いながら和也さんは、あたしに近づいて左手を手に取り、指輪を見ながら話し出した。 「璃子。ウェディングドレス着てたから、つい『結婚しよう』って言ってしまったけど、その気持ちには嘘はないんだ。だけど、会社に入ったばかりのお前に結婚は、重すぎるだろ。だから、本当は、結婚を前提にお付き合いしてくださいって意味を込めて、この指輪を用意したんだ」 和也さんは、真っ直ぐな瞳で、真剣に誠実にあたしに話した。 「璃子。受けてくれるね?」 あたしは、真珠のような涙をこぼしながら 「……はいっ」 と、返事を返した。 見つめ合う2人。 「おいおい続きは家に帰ってからにしてくれよ」 にやけた更科さんが呟いた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!