◇◇ 第8章 バレる ◇◇

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「アッチャーまずいね」 村上さんが小声で言う。 村上さんだけじゃなく、この会話を聞いた全ての人間が凍りついた。 今年の餌食は、桜井かぁ。そんなムードが立ち込める。 そして、もうひとり、この状況をハラハラしながら見つめていた。そう松本部長だった。 会食も進み、まさにフリータイム。 そっと陰に目立たないように隠れていたが、あたしは、課長に呼ばれた。 「桜井さん、渡様がお酌をって言ってらっしゃる。くれぐれも粗相のないように」 「はいっ」と、頷きお席へ向かう。 「おぉ~桜井君か。こっちへ」と、隣の席に招き入れられた。 渡様は、早速あたしの手を握る。 あたしは、そっともう一方の手を渡様の手に添えた。 一瞬の間があり、渡様は視線を止めたが、にこやかに話始めた。
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