2423人が本棚に入れています
本棚に追加
「アッチャーまずいね」
村上さんが小声で言う。
村上さんだけじゃなく、この会話を聞いた全ての人間が凍りついた。
今年の餌食は、桜井かぁ。そんなムードが立ち込める。
そして、もうひとり、この状況をハラハラしながら見つめていた。そう松本部長だった。
会食も進み、まさにフリータイム。
そっと陰に目立たないように隠れていたが、あたしは、課長に呼ばれた。
「桜井さん、渡様がお酌をって言ってらっしゃる。くれぐれも粗相のないように」
「はいっ」と、頷きお席へ向かう。
「おぉ~桜井君か。こっちへ」と、隣の席に招き入れられた。
渡様は、早速あたしの手を握る。
あたしは、そっともう一方の手を渡様の手に添えた。
一瞬の間があり、渡様は視線を止めたが、にこやかに話始めた。
最初のコメントを投稿しよう!