幻影

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彼にメッセージを送信した翌日。 正確には……当日か。 その日は日曜日だったので、 のんびりと9時近くまで布団の中にいた。 まだうつろな目と覚めない頭で 無意識に手を伸ばして枕元の携帯を探る。 枕の下に入りかけていた携帯を引っぱり出してスマホを操作しようとすると、 明るくなった画面が眩しすぎて思わず目をつむった。 その間に眠っている間に忘れていた緊張にも似た興奮を思い出し、 鼓動が振れた。 改めてゆっくりと画面を覗くと、 そこにはメッセージの着信を知らせるアイコンは 表示されていなかった。 「……ないか」 スマホを置こうとして伸ばした手を引き返す。 夕べ、私から送ったメッセージがちゃんと送信済みになっているか確認しようと思ったのだ。 メッセージは…… 間違いなく送信されていた。
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