幻影

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バリバリのキャリアウーマンだった兄嫁は出産して、少しでも早く仕事に復帰したかったらしく、子供をみてくれて、家事をしてくれる母が必要だったし、それをしてあげたいと思う母と利害が完全に一致していた。 家族は私が居ても構わないと言ってくれたけれど、 一人暮らしをしたことのない私には絶好のチャンスだった。 実家暮らしで働いてきたので、金銭的にも問題はなく、 私は意気揚々と実家を飛び出し、 今のこのアパートを新たな居場所にした。 母は反対したが、 私が気を遣って出て行くものだと勘違いした兄嫁を味方につけて、 母の説得に協力してしまった。 キャリアウーマンの兄嫁の言葉には説得力があり、 母もそれもそうね、と最後は完全に私を快く送り出してくれた。 それに、実家が近いことで、母も他のみんなもよく私を食事に誘ってくれて、休日はご飯を食べに帰ることも多かった。 今日の夕飯も実家に帰って食べるつもりだった。
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